朝から嫌なことを思い出した。
忘れていた遠い過去。
今から20年も前の話 。
私が躁状態で、 彼が鬱だった頃の話 。
私の中学時代からの友人、香織と
彼の友人とで カラオケに行った 。
酔っ払って盛り上がり
私と香織に挟まれた彼は
「両手に華だ 〜」と 二人の肩に手を回し
ずいぶんご機嫌だった 。
そんなご機嫌な彼に私がキスをして
その後、何故か彼と香織もキスをした 。
「わーい!みんな仲良し
マンモスハッピー !」
おい、のりぴーか?
いや、これはすべてを超越した愛なんだ!
なんて考えが頭に浮かんだけど
それは瞬時に打ち砕かれた 。
私はカラオケボックスを飛び出し
トイレの個室に駆け込み泣きじゃくった 。
香織も泣きながら
「あおちゃん、ごめんね !
あおちゃん、ごめんね!」
と言っていた気がする 。
その場はとりあえず彼に連れられて
彼の家に帰った気がする。
それからしばらくすると
彼と香織は付き合うことになっていた 。
みんなで仲良く遊びたかっただけなのに
ふたりを合わせるんじゃなかった 。
杏里の「悲しみが止まらない 」(古!)
が頭の中を駆け巡る。
随分と酷い仕打ちだなあ 。
私、何か悪いことしたっけ 。
よく考えてみると普通にしてたようだ。
軽躁状態だった私はわりと簡単に
誰とでも関係を持っていた。
しかも、それを 彼に話したりしていた 。
「 君の友達とキスをしたのは
君への当てつけだったんだよ 」
言われて初めて気づく躁転おバカ。
香織もちょっと変わった子だった 。
自分がその夜見た夢の話ばかりしていたり
どうでもいいようなことを延々と話す。
彼と香織が
どのように過ごし
どのように別れたのか
私は知らない 。
ただ
「当てつけ」に
香織と付き合い出した彼と寝たことはある。
誰へ向けての当てつけなのかわからない。
彼は
「君と僕のふたりだけの秘密。」
という言葉に酔っていた。
今、私と彼は
別々に家庭を持ち
連絡を取り合える間柄ではいる。
香織とは音信不通だ 。
今頃どうしているのだろう。
忘れていた遠い過去が蘇る。
昨夜、死にたい発作が起きたからだろうか 。
20年も前のことなら
すべて時効のような気もするけど
割り切れない部分もある。
雨の朝、複雑さを胸に
突然やってくる
不幸やしあわせについて
ぼんやりと物思いに耽る。
とりあえず
白湯を用意して頓服飲むか。