夕食を作るためはエンジンとなるビールが必要。夕食が出来上がるとハイボールを一杯。
ウイスキーが、ちょっと濃すぎたかなと思いながらも ポークソテーによく合って、おいしく呑みきった。
食後に夫が、愛犬の散歩に行こうと言った。
明日から梅雨入りらしいし行っておくかなと 、ほろ酔い気分で散歩に出かけた。
散歩をしながら、なんてことはない夫婦の会話を交わしていると、夫が 「涼しいし 遠回りしようよ 」と言い出した 。
私は結構酔っていたし 、そんなに歩きたくなかった。
「やだ、やだ、そんなに歩けない !私が、じゃんけんに勝ったら 、ここを左に曲がろうよ。」
「じゃあ、俺が勝ったら遠回りコースね。」
「最初はグー!じゃんけんぽん !」
「あ!!」
「ちぇ、左に曲がるか 。」
夫は残念そうに 、私の言った近道コースを歩き出した 。
どうやら私が勝ったらしい 。
夫が出したのはパーである。
私が出したのは 人差し指一本。
じゃんけんを提案しておきながら 、お酒と薬で 全く頭の回らなかった 私が咄嗟に出したのは人差し指一本だったのだ 。
私が勝ったことになっているということは、夫の見る角度からは きっとチョキに 見えたのだろう。
そういうことにしておこう。
長く歩きたくなかった私は何も言わなかった。
それに 人差し指一本しか動かすことができなかった自分に、なにか笑えないものがあった。