けんちゃんから 友人を我が家へ連れて行ってもいいかと 連絡があった。
「どんな人なの?」
そう尋ねると
「すごいやつだよ」 と 言われた。
よくわからないなと思いながらも、 けんちゃんの友人ならば そんなにおかしな人間も来ないだろうと なんとなく OK した 。
けんちゃんとその友人が来るのを待つ間、私は緊張感に耐えられなくなり 頓服薬を飲んだ。
しばらくして、けんちゃんがやってきた。
その後ろに佇む人は、とても普通に見える地味な人物だった。
とりあえず ほっとする。
ところが、話をしていくうちに友人が言っていた「すごい」というところがなんとなくわかってきた。
思うにこの人は 元々精神疾患を抱え、 その上、非合法、合法薬物で 完全にブッ壊れた タイプだろう。
少しくらいおかしな人物なら お互い様なので なんてことはない。
しかし、ちょっとこの人は強烈すぎる。
一歩間違うと私が、おかしなところに持っていかれてしまう。
子供が自転車で 塾へ出かけている日は、 万が一に備えて、車の運転ができるように お酒を飲まないことに決めている。
周りは皆、呑んでいるので 会話がどんどんディープになってくる。 私は、それらを処理しきれず いっぱいいっぱいだ。
持っていかれるギリギリのところで、子供が帰ってきた。
急げ!と彼の狂気に飲み込まれる前に、塩を口に含みテキーラを一気に流し込み、ライムをかじる 。
これでひとまずは、なんとかなりそうだ。
天才とキ○ガイは、きっと紙一重なのだろう。
彼の場合は後者のように感じた。彼の世界に触れることが、自分のプラスになるとは思えない。
残念ながら、どっちつかずの少しはみ出しているだけの凡人な私は、 なんとか世間と折り合いをつけようと忙しいのだ。
申し訳ないけど、強烈すぎる人物は 私の周りにいてほしくない。
私は、そこに巻き込まれることなく 穏やかに暮らしていたいのよ。
梅雨寒の折、 ご自愛ください。