そうなの

双極性障害Ⅱ型40代子育て中のぐるぐる日記

招かれざる客

 

「ピンポーン」

 

 

我が家にはインターフォンがなく

人が来るとドアを開けて顔を出すしかない。

ネット注文はしてないはずだし

ご近所の方だろうか?

 

もはや礼儀として、マスクをすることが

習慣となっている。

自宅ではマスクはしていないので

慌ててマスクをする。

 

ドアを開けると

何かの営業の人間だった。

 

 

…… このご時世に営業?!

しかも、マスクもせず?

 

 

売れないホストのような顔つきの男が

何か言葉を発っしながら

ずいっと

玄関口へ入り込むほどの勢いで前に出た。

 

 

ひいぃ!近い!!

 

 

恐怖すら感じながら後退る私。

空気読めよ、おい。

 

男はパンフレットを手に

ペンキがどうのと訴えている。

喋るたびに開かれる口からは

ウイルスが散らばっているかのように見えて

気分が悪くなってきた。

今すぐこの男を退散させなくては。

 

 

 

「けっこうです」

 

 

 

まだ何か言っている。

 

 

 

「けっこうです」

 

 

 

5回目にして、男はようやく

「あ、そうですか」とそっけなく言うと

ドアを締めて去って行った。

 

私はすぐ玄関に消毒スプレーをして

表に回り、男が触ったであろう付近を

まんべんなく消毒した。

 

 

 

あいつ、ほんとに売れないホストの

小銭稼ぎじゃないのか?

 

つーか、どんな会社だよ。

 

 

 

せめてきちんとマスクをして

ローランドくらい

気のきいたトークのできる

営業をよこしやがれ。

 


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緊急事態宣言後、初の月1通院

 

今日は通院日。

 

たまに激落ちしながらも、なんとかバランスは保っている。

 

今、病院がどんな様子なのか少しだけワクワクしながら出かける準備をする。

と言っても、顔洗してマスクをするだけ。 気分の良い日は目元だけでもメイクするけど、 もはや面倒くさい。

 

病院へ到着すると、まずは入口で 看護師が 待機していて 体温を測られ 手を消毒をする。 これは4週間前と同じ。私は頭を守るため フードを かぶって中へ入る 。これは4週間前とは違う。

 

待合室には私だけだった。

混雑していることはないにせよ「 車で待っているので電話してください」と 用意周到に携帯番号と名前を書いて 持参した メモ用紙も 使う必要がなさそうだ 。

診察室は主治医との距離が離れていたり、ドアが開けっぱなしだったりするかな?と考えていたけど 、いつもとまったく同じだった。

 

いつもと同じ。

 

主治医に近すぎる椅子をなんとなく後ろにずらして腰掛ける。 フードをかぶっていても 私は気にならないし、先生も気にしないだろう 。 もっと武装している患者がいるに違いない。

とりあえず抗不安薬を多めにもらっておく。

 

何を期待していたのか、いつもと変わりがないことに 少しがっかりしながら、 病院を出る。

 

帰宅後、即シャワー。

 

さっぱり。

 

ぐったり。

 

 

やっぱりぐったりするのよ。コロナ感染リスクが高いであろう病院。気にしてないつもりでも、どっかで神経使ってんだろうな。

 

病気だからね。

 

 

 

医療従事者の皆さま

ありがとうございます。

 


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団子地獄絵図

臨時休校であっても
我が家はありがたいことに元・教諭の
義母が息子二人の勉強を見てくれている。

そこにときには遊びも含まれるわけだが昨日は「よもぎ団子を作るの 」と聞かされていた 。

私には全くやる気にならないことを
ポジティブかつアクティブな義母は 何でもこなしてしまうので 、本当に助かっている 。

お迎えに行くと みんなで よもぎ団子を作っているところだった。

皆、楽しそうに 素手で 団子をぐちゃぐちゃと
こねまくっている 。

… 妖怪団子こねこね?!

その傍らではニコニコと笑顔で
保育園児の甥っ子が 素手で あんこを
ペロリと つまみ食い。
そして、またその手をあんこに突っ込み ペロリ…の繰り返し 。

えーっと?妖怪あんこ小僧?!



その光景に軽くめまいと吐き気がした。



普段なら幸せな家族のワンシーンなのだが
この時期のその様子はまるで

地獄絵図のようだった。




もやは地獄も天国もないのか。




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躁鬱主婦揺れる思い②

 

 

こんな ご時世でも子供の習い事はやっている。

車での送迎が 大変だ 。

送ったのはいいけれど、お迎えまでの1時間半の間に私の精神状態が急変し 迎えに行けない !ということにもなりかねない 。

昨日は、ほぼ布団の中にくるまっていた。

 

先日( なのか?時間の感覚がおかしくなってきてる )

誰かと話してないと、もたない緊急事態がやってきた。 こういう場合 誰でも いいわけではない。 あいつが一番最適なのだ。

電話したが出なかったため、 音楽を聴いてなんとかやり過ごした。

あいつからは翌日連絡があった。

 

 

「来週から在宅勤務です 暇ですわ」

 

「返信1日あいたから心配したよ。よかった。」

本当に心配したのだ。私にしてはめずらしく、 可愛らしい返信をした。

 

「友達がいないので個人の携帯は全くチェックしない日も多いです。 君はずっと元気で友達でいて下さい」

 

別にお互い友達がいないわけでもないよな 。『ずっと元気で』も妙に滲みるな

 

「私も友達がいないので、あなたに電話しました。」

 

「友達は数とか頻度ではなくソウルのタイミングと考えております 今後ともよろしくお願いします」

 

は?ソウル ?と一瞬イラッとしたので

ソウルは無視して

 

「頓服効くまでやりすごせなかったので電話しました。」

と正直に返信した。

 

「よくわかりませんが
あなたは私の大切なくされ縁のひとです
あなたのためになれるとうれしいです」

 

そうだよな。

ソウルじゃなくてくされ縁だ。

てゆうか、なんだよドMかよ。

20代の一番楽しくて無責任な時期を 傷つけたり傷つけられたりして 濃密な時間を過ごしていたと思う。 あの時こうしておけばよかった、 いや、あれでよかったんだ。瞬時に記憶がよみがえる。 少しだけ涙が流れた 。このまま泣きじゃくってしまえば 楽になるのだろうか。

電話してしまおうか 。

ダメだ。今 、大好きだったあの声で 優しい言葉をかけられたら 何が悲しいのかもわからないまま泣き崩れてしまうだろう。

 

 

 

 

「よくわかりませんが

私もあなたと同じように思っています」

 

 

「こんごともよろしく
おやすみなさい」

 

 


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躁鬱主婦揺れる思い

昨日の 夕方 不穏な空気がざわざわと

着々とやってきた 。

頓服を飲む。

予測はついていたが、今ここで動けなくなるわけにもいかない 。

車を運転して子供を 迎えに行かなきゃ 。

効いてくるまでの時間 なんとかやり過ごさなければならない 。

 

誰かと話がしたい。

 

こんなとき最適なのはやっぱりあいつだ

 


バッサリすんなりじんわり - そうなの

 

前回、散々迷った挙句メールで様子を伺い電話しようと思っていたら、相手からすぐに 電話があった。

「迷ったんだ」と言うと

「なんだよ。すぐにかけてこいよ」

懐かしいその声で 言われると なんだか くすぐったい気持ちになった。

 

今回は 迷わず電話をかけた 。

 

 

 

出ない。

 

 

ひとまずメールで

「時間があったので電話しました 。

なんだか大変なご時世ですね」

とだけ送った。

 

 

今日になっても返信がない。

 

 

「まさか 」

 

 

不安が頭をよぎる。

いや、あいつも 調子を崩しているのか。

 

気まぐれなやつだしな。

 

 

 

今日は本でも読もう。

読めるといいな。

 

 

 

軽度の鬱には料理で対処してみる


もやもやする 。
もやもやを誤魔化そうと 料理に精を出している 。



トントントントン野菜を刻む

とんとんとんとん お料理しましょう

とんとんとんとん 満たされる

心と体も満たされる

トントントントン血まみれだ

気づいてみたら血まみれだ

トントンザクザク血まみれだ

すべてを真っ赤に染めましょう





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まったく
こんな調子で自分の方向性が読めない 。もやもやがありあまって困る。

つい先日まで、私は自分自身のコロナ感染の恐怖はない と考えていた。だってお母さんが自殺で死んだよりもコロナで死んだの方がいいよね? と 不謹慎かつ身勝手なことを 考えていた。しかし、重症患者が 「肺に ガラスが刺さっているみたいに痛い 」と ネットで 言っていたのを聞いて以来「え、 そんなに痛いのはちょっと 」とまた身勝手なことを考え始めている。

すると今度はウィルスに対して 過剰反応するはめになり、ノイローゼまっしぐら。

なにもしていないと 余計なことを考えだす。なにをしていいのかもわからない。
そんなときは お料理しましょう 。
何日か日持ちする作り置きできるものがおすすめ。無理はしないで、できる範囲で 。 時間はいっぱいあるんだから ゆっくり 作ればいい。ピタッと気分がハマれば勝手に 時間が過ぎる。 しかも 食べ物のストックまで出来上がる 。



で、なんのはなしだっけ?



そうそう、
包丁を使う時は 指切らないように注意してね!

躁鬱主婦は思った

 

 

自殺が先か。コロナが先か。

 

 

もう疲れた 。

買い物、料理、子供のうるさい声にも 。

せっかく桜が綺麗な 季節 なのに

それどころではない 。

 

不安、焦り、怒り

様々な感情が入り混じり落ち着かない。

いつまでこんな状態が続くのか 。

 

自分自身へのコロナ感染の恐怖はない。

 

だって

 

 

「お母さんは自殺で死んだ 」

 

 

よりも

 

 

「お母さんはコロナで死んだ 」

 

 

のほうが残された家族にとってはいいよね。

 

 

不謹慎かもしれないけど

またいつ「死にたい」

がやってくるかわからない。

「死にたい」のほうが

私にとっては厄介だ。

 

そうだ

鬱寄りだから忘れていたけど

突然の躁転も困る。

外出自粛などお構い無しに

スキップしながら

お出かけするだろう。

 

 

 

自殺が先かコロナが先か

自殺が先かコロナが先か

あの子がほしい

あの子じゃわからん

 

 

 

 

はいはい、わかったよ。

 

あれこれ考えてないで

お薬飲んで早く寝ようね。

 


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精神疾患者が今抱える不安について

 

コロナウイルスの 先行き が不安だ。

 

皆、騒ぎすぎているような気もするし

 

「みんな感染しちゃうんじゃないの?」

 

なんて軽く言われてしまうと

ただでさえギリギリで生きている

精神疾患持ちとしては

「 やっぱり、そうなの ?」と

不安と混乱の渦中で 

世紀末まで一気に妄想が膨らむ。

 

でも、大切なのは

少し距離を置いて 客観的に

物事を見てみることだろう。

 

 

そんな時 、助けてくれるのは

言葉だったり 音楽だったり

するのかもしれない 。

 

 

 

https://youtu.be/mcPgXiwyZYw

お雛様がこわい!

 

ある場所で

江戸時代の お雛様を見たことがある 。

 

そのとき私は軽躁状態

 

異様なオーラを放つ

江戸時代のお雛様。

ネズミに頭かじられてる人もいる。

 

五感が研ぎ澄まされた状態では

もうホラーでしかない。

 

リアルに『生』を持つ

両サイドの生花よりも

人形たちのほうがはるかに

鬼気迫るリアルがあり

恐ろしくなった。

 

躁状態なので 

もちろん気軽に 誰にでも話しかける。

係の人に あーだこーだ 言っていたら

 

「霊感があるほうですか ?」

 

なんて言われた。

いやない。断じて、ない。

 

「私たちも お雛様の前を通るときは

『 失礼します 』と 声をかけるんです」

 

やっぱり、そんな感じね。

 

午前中に見た そのお雛様たちは

夜になっても 頭から離れない。

あぁ見るんじゃなかったなと

軽く後悔しつつ 、軽く片っ端から

知り合いに電話してみる。

ちょうどお店で呑んでいた

友人のもとへ猛スピードで会いに行った。

 

「今頃、あのお雛様たち絶対 動いてるよ!

太鼓叩きながら 踊りまくってるって!」

 

と、ポッキーを両手に1本ずつ持ち、

軽快に太鼓を叩く仕草をしながら

わけのわからないことを 言っていたのを

今日、思い出した。

 

 

 

今見たら それほど怖くないんだろうな。

あのお雛様 。

 

それともやっぱり

今頃みんなで踊ってるのかな

あのお雛様。

 

 

「探究学舎」無料オンライン授業で救われた気持ちになる

 

予期せぬ長い長い春休みを小学生の子供と過ごすことになりました 。ほっとけば YouTube ばかり見ている 子供。

私が1番イラつくのはゲーム実況してるやつね。バカ騒ぎしてる YouTuber の声と それをただ見ているバカみたいな子供の姿って、ほんとイライラするわ!

 

学校が休みならば、塾も習い事も休み。

 

おいおい、ちょっと待てよ。

ひとり穏やかな時間が奪われた挙げ句、この元気いっぱいな息子ふたりをグリップしろと?!病気が悪化したらどーすんだよ!

ギリギリ限界地点の氷山の一角でぷるぷる震えておりましたら、 知人から下記の無料オンライン授業を教えてもらえました。

 


探究学舎

 

早速、昨日 リアルタイムで子供と一緒に見ていましたが 、なかなかおもしろい視点で 物事を考えさせてくれます 。

子供も「わかりやすい!」と楽しんで見ていましたし、私も子供と一緒になって楽しみました。

 

あまりにも唐突な臨時休校。

逆手にとって少し目線を変えた学び、考え方をするのも良いかなと思いました。

『平日 10時半から12時は 必ずこの オンライン授業を見る』 と決めれば 自ずと 生活のリズムにもメリハリがつきそうです 。

 

 

 

 

…まぁ、一番心配なのは学校が休みになって、私が朝早く 起きれるのかってことなんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?

 

4時半に目が覚めて眠れないじゃん。

 

 

長い長い春休み

 

薬のおかげで、しっかり眠れています。

…薬に頼り過ぎてる気もしますが、致し方ない。

ありがとう、頓服薬。

 

前回のトイレットペーパー騒動以来 スーパーへは行っていません。 きっと食料品なども すごいことになっているのでしょう。

 

なんだかもうな。。 - そうなの

 

我が子の通う小学校は 今日10時まで登校です 。明日からはお休み。

そろそろ騒がしい子供が帰ってくるでしょう 。そして1日3食 ご飯の用意 。

 

きっついわー

 

台風などの大きな気圧の変化がないぶん 、まだ平静を保てていますが 、どこまで保てるかも分かりません。

普段、一人で過ごしている穏やかな時間に騒がしい子供がいるのだから 、ちょっとしたことでキレてしまいそうです。

 

急な変更などが重なると気持ちがついていけなかったりして、ストレスになります。

この土日も朝からイライラしてました。

 

 

 

 

あまり過敏になりすぎないよう

穏やかに過ごしたいものです。

 

 

帰省と疲れ

 

 

疲れが抜けない。

 

哀しいかな、歳のせいだと思う。

 

先週末、 車で約6時間ほどの実家へ帰省した。 夫の運転が厳しくなると交代して運転をした 。彼もまた歳をとった。 以前よりも休憩を必要とするようになった。

雨の夜、 高速道路の運転は神経を使う。

 

実家に着いたのは深夜3時半。

朝7時半、夫は別件で用があり 慣れない都会の道を 車で送った 。

その日は丸1日、 義妹とその息子、 そして私の息子とで バス、地下鉄に乗り科学館などに出かけた 。

睡眠不足だった私は科学館見学中、激烈に眠くなり、 椅子を見つけては腰掛けて 目を閉じた。

帰り道、長男がお腹が空いたと怒り出したので それをいいことに アルコールのあるお店に入った 。

こんなに眠いのにアルコールを入れて大丈夫かと少し不安になったが、 飲んでみたら 元気になった 。これで帰りの混み合っている 地下鉄とバスも なんとかやり過ごせそうだ。 地下鉄を降り、長い階段を登る。

 

そうだ、20年前も朝まで遊んだ 始発の帰り道 、この長い 階段を 登るのは 大変だった。 階段を登るのは大変だったけれど 体の疲れは感じなかった。

 

それが今や1週間たっても、疲れが抜けないのである。

 

ちょっとしたことでイライラする。

かなりの時間を眠って過ごす。

季節の変わり目だからだろうか 。

頭が痛い。

 

これもまた 頓服でも飲んで

やり過ごすしかないのだ 。

 

 

やれやれ。

 

 

 

「重度の鬱病」と診断された友人が薬で、すっかり元気になった

 

 

とても大切な友人が、 去年の秋頃から 「仕事が辛くてさ… 」とメンタルの不調を訴えていた 。

 

クラブイベントに誘ってみたけど、彼女は気分転換になるどころか、人混みに圧されてうんざりとした様子で顔を歪めていた。

 

それ以降も、 具合は悪くなる一方で

「最近、眠れなくて」と言うので、

「病院に行ってみてもいいかもね 」

とアドバイスした。

ひとまず、内科で眠れないことを訴え、 軽い眠剤をもらってきたようだが、それでも眠れない。

そして彼女は 昨年末、初めて心療内科の門を叩くことになったのである。

 

診断名は「重度の鬱病」。

 

その後も気になり週1ペースで LINE で様子を窺っていた。

 

昨日、彼女と電話で話したが、 なにかもうすっかり元気なのである。 声のトーンが全然違う。 本人も「薬ってすごいね」と言う。 

便秘とお菓子の食べ過ぎに悩んではいるけど、 それと引き換えても 薬は飲んでいたいと言った。

 

鬱の人が 薬で、すっかり変わってしまうところを何度か見ている。

初めて目の当たりにしたときは、薬でこんなに変わってしまうことに恐ろしさすら感じた。そんな私自身も薬で安定を保っているんだけどね。なんとか安定を保てているだけなので

正直、生き生きとした彼女の声を羨ましく思った。

 

 

とにかく彼女が元気になって良かった。

 

 

やるべきことをこなすため、ギリギリのところでがんばっているうちに、もう自分では気づかないほど重症化してしまうかもしれない。

そんなにがんばらなくてもいいよ。

まずは病院へ行ってみてはどうだろう。

 

 

彼女のように

 

「もっと早く行っておけばよかった」

 

そう思うかもしれない。

 

 


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夫婦の1ページ【離婚騒動①】

 

 

 

「離婚したい 」

 

 

 

結婚して12年、私は初めてその言葉を口にした 。

 

今日は次男の10歳の誕生日。

 

子供2人が10歳になるまでの大変な時期、病気を抱えながら 私は頑張ってきたのだ 。

あと10年、子供が成人するまで あなたが頑張ればいいじゃない。

 

「結婚」とは、健やかなる時も病める時も 、共に助け合い生きていくことだったよね。

 

 

事の発端は、 ある話の流れで夫が 私に対して

 

「極論、俺が飼ってるみたいじゃん 」

 

と言ったことだ 。

雷に打たれたかのようなショックが身体を 駆け抜けた 。私は力強く 冷静に「わかるよ 」と言った。夫の立場ならば そう思うであろう 。夫は私に働いてほしいようである。 働かないのなら、もう少し 主婦業を頑張ってほしいと言う。

それもわかる。 でも残念ながら私は病気なのだ 。心身ともに 強いあなたには わからないのだろう 。

 

 

「俺が飼ってるみたいじゃん」

 

 

その言葉は、 じわじわと私を追い詰めた 。

調子の悪い時期であったなら今、生きてはいないだろう。 出逢ってからの20年 、傷つけられてきた言葉の数々を思い出す 。あまりにも深く ぱっくりと傷口が開いていて 気づかなかった。それはもう塞ぎようのない大きな穴となっていた。

そこには何の感情もない。

 

飼われている関係性で一緒にいたいとは思わない。それなら、ひとりのほうが気楽である。デリカシーのない夫の言葉に傷つくこともないし、激鬱期の惨めな姿を子供に晒すこともない。どうせ飼うのなら、もっと優秀な女性を飼えばいい。

 

そんな思いを抱えながら 、子供のお誕生日会の準備をする。夫側の家族を招いて お祝いをするのが恒例行事となっている 。私にとっては、かなりの負担になるときもある。

 

「次男ちゃん、お誕生日おめでとう 」

 

ケーキのローソクに火を灯し 電気を消して、皆でバースデーソングを歌う。火を吹き消し プレゼントを渡され、満面の笑みを浮かべる 次男。

口いっぱいに ケーキを頬張って 美味しそうに食べる 次男を見て、 涙が溢れそうになった 。

 

 

私は今朝、 初めて離婚したいと言ったよ。

君のことより、何よりひとりになりたいと

思っていたよ。

 

 

映画のように幸せそのものであるこの風景に 、 夫は捨てられても夫以外の家族は捨てられないと思った 。

この人は家族に助けられている 。

それに全く気づいていないお殿様なのだ。

 


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その後、会話を交わすこともなく丸2日が過ぎた。

子供が寝静まった頃

「話がしたい」と 私は言った 。

夫は 気だるそうな様子で 話し合う体勢をとった 。私は私の意見を淡々と述べ 、その間、夫はただ黙って聞いていた。

 

「離婚について、どう考えてますか」

と尋ねた。

 

「ずっと鬱状態だった 。会社の人からも 『テンション低いけど、どうしたんですか?何かあったんですか?』 って聞かれた 。」

 

意外な言葉が返ってきた 。

私の言った「離婚したい」はこの人を鬱状態にするほどのダメージがあったのだ 。

 

「2日間、離婚について 何か考えた? 」

 

もはや泣き出しそうな子供のような顔をして

「そんなコト、考えた事なかったから …」

とうなだれた。

 

「私も考えたことなかったよ。

『飼ってるみたいじゃん』は

それくらいショックだった。」

 

そう言いながら

笑いがこみ上げてきそうになった 。

この2日間、考えていたことなど

もうどうでもいいように思えてきた 。

ひとつのことを思い詰め、最悪の結論に至りやすいネガティブな私もどうかしている。

病気が原因で弱気になり、言いたいことも言えずにいた。言いたいことは、言葉を選びやんわりと笑顔で伝えストレスを溜め込まないことだ。

 

 

ひとまず、第1次離婚騒動も収束を迎え

いつも通りの朝がきた。

 

食卓に並んだポテトサラダを

口にした次男が

「人参が腐ってる 」と言った。

「え?何言ってんの !?」

それを見ていた夫が

「デリカシーがないって、こういうこと?」

…少し違うような、そんなような。

次男はポカーンとして

「 俺、何か悪いこと言った?」

とでも言いたげである 。

「悪気はないんだよなぁ 。 DNA なんだよ 」

「じゃあ、あなたは義父さんから ?」

「そう 」

 

これからも私はデリカシーのない夫の言葉で 傷つくことがあるだろう 。そして、寛解はしても完治することのない病気持ちの私が、迷惑をかけることもあるだろう 。

それでも、こんな私と 離婚など考えた事もないと言ってくれるこの人とあたたかい家庭を築いていこう。

 

 

「離婚」という選択肢もある。

 

その発見は

なんだか少しだけ

私を生きやすくしてくれた気がする。